尾陰由美子の耳寄りな話12

尾陰由美子の耳寄りな話12

いきいき・のびのび水中機能改善体操

クラブパートナー最後の執筆となりました。今回は、2月13日~17日まで東北の岩手県を中心に機能改善体操指導と希望の絆のフラ体操指導でボランティア活動を行った様子をレポートして、ペンを置きたいと思います。

今回、運動指導ボランティアを始めようと思ったきっかけは、昨年の5月に有志のインストラクターの方々とアーティストの山根麻以さん、kumiさん、manaさんなどの協力を得て作製した『希望の絆』 のDVDを被災された皆さんに直接お渡ししたいという思いからでした。このプロジェクトは、岡本正一氏、望月美佐緒氏と私と3人で立ち上げたプロジェクトで、「ふるさと」と「アメイジンググレイス~希望のひかり~」の曲に合わせて踊るフラ体操ですが、1000本作製したDVDを販売した売上金を義援金とする活動です。すでに600本ほど販売する中で、まだ400本ほど残っているDVDをやはり被災された現地の方々に届けることによって、椅子に座ったままでも、TVを見るような感覚で、ちょっとしたコミュニティやサークルで仲間と楽しみながらフラ体操を踊っていただくことが、健康支援の一助になればという思いだったのです。

実際に、私は現地に行くまでに、岩手県の各ボランティアセンターの方々や社会福祉協議会の方々に現状をお聞きしたのですが、震災から1年近くたって、仮設住宅での生活や寒い冬を過ごす生活の中でどうしても引きこもりがちになっている方が多いということを知りました。これからのボランティアは生活支援が必要であり、その中でも健康支援の取り組みが特に必要であり、社会福祉協議会の皆さんや地域の保健師さんたちは、少しでも外に出てもらうための見回り隊などを設置しているとのことでした。また、仮設住宅では、コミュニティサロンを設置してそこでの活動を積極的に行っているとのことでした。ただ、実際には家から出て活動できる人はかぎられているとのことでした。どうしても東北の太平洋側は、雪が凍り付いて路面が凍結してしまうため、転倒の危険から家を出ない生活が続き、足腰の筋肉の弱化によるロコモティブシンドロームや引きこもりによるうつや自殺が問題となるのです。そのための対策が求められているとのことでした。

そのために私たちができることは何か?と考えたときに、手軽にいつでもできる身体を動かすためのきっかけづくりやコミュニティづくりが本当に重要だと感じたのです。私が主宰するNPO法人いきいき・のびのび健康づくり協会が提案する「機能改善体操」の提案やシナプソロジー普及会が提供する「シナプソロジー(新・脳活性化プログラム)」、そして歌を歌いながら手足を動かすフラ体操が、身体を動かすきっかけになればという思いでした。

今回、私は岩手県の大槌町、釜石の沿岸部を回り、さらに内陸の一関市、盛岡市でも活動をしてきました。内陸は、実際津波の被害はなかったものの、被災されて転居されてきた方や身内や知り合いの方に被災者がいることから自分自身が運動や体操を思いっきり楽しむことに抵抗感のある人も多いということを聞き、内陸の施設のほうにも足をのばしてみたのです。

2月14日の朝、現地に到着して目にした光景は、あまりにも唖然とする光景ばかりです。すでに多くのがれきは撤去され、更地に近い状態になっているのですが、そのあまりにもだだっ広い光景は、東北の寒さをさらに厳しく感じさせるものでした。そんな町にもショッピングストアが仮設ながらも少しずつ建ちはじめているのを見ることで、ここに生きる人たちの息吹を感じることができます。ボランティアセンターで活動する若い人たちの尽きることない復興への思いや願いは、胸を打たれます。そして、私たちがお邪魔した仮設住宅内のサロンやデイサービスに来られる被災者の方々の笑顔には私自身が学ばされ、励まされることばかりです。寒い冬の時期、ボランティアに入る方も少なくなり、若い人たちは、生活の糧を得るために県外に流出する人が多く、どこかしら寂しさを堪えている方々ですから、訪問してくれる人に思いっきりの喜びと感謝の笑顔を向けられます。「遠いけど、また来てね。」「次は、いつ来てくれるの?」という言葉がたくさん飛び交いました。そして、私たちの活動の日に参加できなかった友人や知人にも体操を伝えたいという方が多く、皆さんにプレゼントしたボールやテキスト、DVDを友人の分も腕いっぱいに抱えて帰られました。

実際、私たちは毎日被災地に行くことはできないわけですから、このように機能改善体操を体験した人が、自分の身近にいる方々に伝えることで、自分自身の身体も心も機能改善できるのです。そして、体操を通して人とかかわることでコミュニティが生まれ社会的健康も得られると思っています。そして運動指導者が、被災地に生きる方々のこれからの身体と心の復興の一助になると感じました。

最後に、クラブパートナーを通して1年間にわたり水中機能改善体操を紹介しつつ、今後は陸上での機能改善体操を伝える機会を狙っていましたが、これが最後の「耳寄りな話」となってしまいました。

今後は、NPO法人いきいき・のびのび健康づくり協会のHPや講習会でより積極的に「機能改善体操」と「シナプソロジー」「フラ体操」の活動を行っていきますので、読者の皆様ときっとまたどこかでお会いできることを楽しみにしています。

そして、私の遅筆に付き合ってくださった鶴谷さん、貴重な紙面をいただいたこの数年間に心から感謝とお礼を述べたいと思います。鶴谷さんのこれからのさらなるご活躍を楽しみにしています。

クラブパートナーを通していただいたたくさんの「出逢いと仕事」は『出愛と志事』であったことをみなさんにおつたえしておきます。

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