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No.2 アクアエクササイズの指導って大変!?(PART1)

 

クラブパートナー誌 2006年2月号掲載記事より

最近、大手のスポーツクラブのプログラム担当者の方や、指導者育成担当者の方からよく相談を受けます。

一つ目は、アクアエクササイズのインストラクター不足について、2つ目は現役アクアインストラクターのアクア離れ・・・何よりもプールでアクアエクササイズを楽しみにしているお客様が、「最近のインストラクターは楽しくない!」とか「いつもワンパターンでつまらない!」とか「動いていても寒くなる」とかいろんな声をいただくもののそれに対応できるような指導者の方が少なく、オーディションをしてもなかなか集まってきてくれないし、養成コースなどでせっかく育てても、すぐにやめてしまったり、他のプログラムの指導を多くしてアクアの指導を避けてしまう・・・などなど。ちょっとさびしくなるような相談を良く受けるようになりました。

確かに、ここ数年フィットネス業界にはさまざまなプログラムが取り入れられ、インストラクターもいろんなプログラムを指導できないとレッスンが確保できないということになっていました。多くのエアロビクスインストラクターやフィットネスのトレーナーたちがプールという慣れない環境の中で中高年者の女性に人気のアクアエクササイズの指導に当たってきましたが、本来は陸上でダンスやエクササイズ、トレーニングを指導してきた人たちですから、今のようにヨガやピラティス、パーソナルトレーナーという新しい指導現場が増えるとそちらのほうにシフトしていくのも無理のないことです。また、アクアエクササイズを指導する現場は、インストラクターにとっては決して環境の良い場ではありません。

高温多湿のうえに、床が滑りやすい、声や音楽が反響して指導が十分に伝わりにくい、中高年者の女性たちが多いということで、レベル差も大きければ気を遣うことも数多くあります。私も過去に、熱疲労で頭痛に悩まされたり、レッスン中に滑って膝を痛めたり、大声を張り上げすぎて声が出なくなったり多くの受難を受けています。正直「しんどいなぁ~」「レッスンを減らそうかなぁ~」なんて思ったこともあります。でも、アクアエクササイズの指導を続けてきた背景には、やはり参加者の笑顔や「ありがたとう」「楽しかったよ」「私でも運動できたよ」などなど涙が出るくらいのたくさんの温かい言葉の数々をいただいてきたからだと思います。

今、指導されている皆さんもきっと同じ思いではないでしょうか?それでも苦しくなったり、つらくなることはあるものです。どんな仕事でも楽なものは何一つないとは思うけれど、自分の体を損ねるようになるとどうしても優先順位として指導現場を変えざるをえなくなります。

最近の傾向として、アクアインストラクターが少なくなっているもしくは、需要が多くなっているにもかかわらず十分な供給が追いついていないことから、限られたアクアインストラクターにレッスンが集中したり、1人にかかる負担が大きくなっているのも事実です。これでは、指導者はオーバーワークで倒れてしまいます。また、十分な研修や養成を受けないまま現場に立ってしまうことから体の使い方がうまくできずに、怪我をする人も増えています。これからの高齢化社会を考えると水中での運動は不可欠となってくるでしょう。そのときに指導者がいないのでは困ったものです。また、陸上では運動できない人たちの居場所がなくなっていくのも問題です。

こういった問題は、インストラクター1人で考えても、施設側だけで考えてもうまくいくものではありません。

各施設にとってアクアインストラクターが必要であれば、インストラクターたちが働きやすい環境づくり、システム作り、人間関係を築くことが必要ですし、インストラクターは自分自身を守るためにも指導方法の見直しやスケジュール管理、自分の体作りを考えなければなりません。

まずはできることからどんどんやってみませんか?

インストラクターの皆さんは、熱心な指導のあまり結構しゃべりすぎている方が多いようです。プールではあまり多くの言葉を発しても聞き取ることが難しいので「○○を××する」と言うような短い言葉でキューイングをし、コミュニケーションはなるべくジェスチャー(マイム)や表情、アイコンタクトを中心にすることです。

 プログラムの展開が速すぎると動き続けなければならなくなるので、繰り返しを多くする中で1ポイント動きを変化させるようなレイヤリングテクニックを使うと体力の消耗を防げます。また、当然のことながら発汗性の良いウエアを身につけ、水分をレッスン中にこまめに取るようにすることです。足のためにはアクアシューズも必要ですね。さらに、体作りは当然ですが、発声トレーニングもとても重要です。

施設の方々は、インストラクターの方が指導しやすい環境づくりを考えることです。指導に立つ場所に滑り止めマットを設置したり、給水台や音響の操作などがなるべく手元でできるような工夫、無駄なエネルギー(プールサイドを走って音響操作などはもってのほか!)を使わなくていいようにバックアップできるといいのですが、古い施設ではなかなか難しいことが多いのが現実のようです。でも、アクアエクササイズが本当に大切な商品であるならば、まずはインストラクターを大事にすることを考えなければ、環境の悪い現場から指導者はリタイアしていくものです。

私は、お客様を大事にするくらいインストラクターを大事にする施設は繁盛していくと思いますし、インストラクターはお客様を大事に思うくらい、自分の働いている施設を大切に思う人が成長できると思っています。

どうですか?いろんな問題は、まず改善のための行動をそれぞれが始めてみないことには、何も変わりませんよね。インストラクターは、素敵な商売!たくさんの人をHappyに楽しく、温かく、やさしく、元気にできるのですから・・・アクアエクササイズの指導って大変なだけあって遣り甲斐がある!って言ってみたいと思いませんか?