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No.26 「クラブ内イベントの効果」~パンジョクラブイズの紹介~

クラブパートナー誌 2008年2月掲載

2008年も無事に明けましたが、何と言っても年末年始は、フィットネスクラブ内でのイベントの多いこと、多いこと。ありがたいことに私もあちらこちらから声がかかって、通常のレッスンにイベントレッスンも加わって、走り回っているうちに、新年を迎えたような感じです。

 さてここで、フィットネスクラブでもクラブによっては、経費削減、人手不足などからイベントの開催に消極的なクラブもあれば、昨年末のルネサンス佐世保における銃撃事件の影響から、ルネサンスなどではイベントなどは一切中止となってしまったとか・・・各社、各施設さまざまだったようです。

 そのような中で、私が関わっている堺市にあるパンジョクラブイズでは、毎年恒例のクリスマスイベントが開催されました。パンジョクラブイズでは、年に数回お客様へのサービス、感謝をこめたイベントがいろいろと催されています。プールエアリアでは、主に子どもたちに向けた水中運動会や合宿、大人向けの水泳大会など。フィットネスでは、アウトドア系のバスツアーやハイキング、スタジオではスペシャルレッスンやエクササイズ発表会と趣向を凝らして催されます。私が、関わっているのは主にグループレッスン部門ですので、スペシャルレッスンやエクササイズ発表会となると企画や準備も含めていろいろと大変です。また、年に1回の12日のバスツアーも企画から、交渉、集客、運営まで何かと気遣いの多いイベントとなります。正直、毎年「これでやめようかなぁ~。今年が最後だぁ~・・・」と思いつつ、季節がめぐってくると「今年は、どこに行くの?」「何をするの?」「去年は参加できなかったから、今年こそ・・・」なんて言われると、大変なことを承知でまた企画を立てている自分があります。よくよく考えてみると、そこにやはり「みんなに喜んでもらいたい!」「みんなの期待に応えたい!」「みんなの笑顔を見たい!」と単純に思ってしまうわけです。バスツアーにしてもエクササイズ発表会にしても、クラブの収益はほとんどありませんから、自分が楽をしようと思えば何もしないのが一番いいわけです。実際にイベントが済むまでは、さまざまな人間関係があってややこしいことも多く、辟易とすることもあるのですが、終わってしまうと不思議にお客様同士の結びつきやクラブとの結びつきは強くなっています。このようなイベントに参加してくださったお客様の多くは、クラブへの来館率は上がりますし、継続率も長くなります。ということで、今回はパンジョクラブイズの素敵なクラブイベントをご紹介しようと思います。

 パンジョクラブイズは、昨年政令都市になった堺市の泉北ニュータウンの中にあります。もともとは30年以上前に、泉北ニュータウン開発事業の中で大阪府都市開発㈱の傘下にある㈱パンジョが、高島屋をキーテナントとして123店の専門店を経営するショッピングセンターを経営しており、その1つにスイミングスクールを主体とした「パンジョスポーツセンター」がオープンしたのです。10年ほど前に、子ども主体のスイミングスクールからニュータウンの高齢化にともなった、地域密着型のファミリー主体のウエルネスクラブに大きく生まれ変わりました。施設内は、広々とした空間デザインで、ウエルネスゾーンは特にバリアフリーを意識したフロア作りとなっています。地域コミュニティーを大事にするコンセプトから、ウエルネスクラブのエントランスは広く、ラウンジエリアでは、昼時はお弁当や軽食をとれるように広々とした空間とテーブル、椅子が用意されています。施設内には2つのスタジオがありますが、1つのスタジオではスタッフが25分ストレッチングやストレッチポール、アロマストレッチなどのクラスが、出入り自由で1日に1820クラス行われています。高齢者の方は、ほぼどの時間に来てもこの25分ストレッチングがあるおかげで、グループレッスンへの参加が高いといえます。多くの施設は、DVDを流してのストレッチングだと思いますが、パンジョのこだわりがここにあります。

 このような施設作りのために、会員の平均年齢も高く、年齢の高い方でもランニングやスイミング、トレーニングへの積極的な参加が目立ちます。それゆえにクラブを通しての人間関係作りも積極的です。私が、担当するエアロビクスのクラスでは、最高齢が女性で84歳、男性で81歳ということですから、まさしくアクティブシニアたちです。ピラティスやジャイロキネシス、機能改善プログラムはすべて有料となり参加者も1015人のMAX入るクラスもあります。3年前から導入したパーソナルプログラムもグループレッスンのインストラクターが兼務するものと、スタッフが行うパーソナルストレッチングと用意されています。パーソナルプログラムは、特にジャイロトニックや水中パーソナルが人気で、安定した集客をしています。クラブの置かれている環境を考えても、若い人の入会はなかなか難しいため、50歳以上にターゲットを絞ったクラブ作り、継続率の高さから「長くクラブライフを楽しんでいただく」というコンセプトを、ここ数年は打ち出しています。それゆえに、高齢者の方が求める仲間作りプログラムの重要性を感じます。

 ということで、イベントを開催することでの仲間作り、クラブとの信頼作り、そしてお客様のマナー教育の場となっています。とくに、イベントなどに参加してくださるお客様はヘビーユーザーであり、口コミを中心とした他のお客様への影響力も大きくなりがちです。12日のバスツアーなどで信頼関係を構築したときに、スタジオマナーのお話などをすると、とても素直に受け入れてくださることが多いのです。また、逆にお客様が普段思っていること、感じていることなどもその背景も含めて聞くことができるので、お客様サービスの参考となるわけです。これらのイベントは、意図的に一人ではできないもの、協力し合う内容のものを取り入れて、お客様同士の協力関係を作り出すようにもしています。エクササイズ発表会などは、まさしくグループでの発表会となるので協力関係を築かなければ成功はありえません。誰もが参加しやすいように、大きなホールを借りることはせず、スタジオをステージに仕立てて、毎年Xmas発表会として開催しています。出演する人、それを見る人・・・12月のクラブもこのときばかりは大賑わいです。

 昨年、私は「チアダンス」を20名の参加者と1名のインストラクター、総勢21名のチームに振りをつけ、そのために4回の特別レッスンを設けて、発表会に挑みました。ポンポンを持ってのダンスゆえに、21名全員の息が合わないと見られたものではありません。身長などによって振りや位置を決めてもなかなか受け入れられなかったり、隣の人とタイミングが合わなかったりすると・・・いろいろな思いがよぎるようで、一時は険悪な雰囲気もありましたが、本番のときは練習以上のできばえとなり、少し涙が出そうになるくらいでした。最高齢69歳の方も参加してのチアダンスでした。イベントが終わった後のパーティのときは、「どうなるかと思ったけど、先生が『最高~~!』と褒めてくれてうれしかったぁ~!」「練習中は、不機嫌な態度でごめんなさい!」「来年は、もっとがんばるぅ~」などはじけた笑顔とともにいただいた言葉に、何とも言えない感動を覚えました。

 このように、イベントを通してお客様同士のコミュニティーが高まると同時に、私たち指導者もたくさんのエネルギーをいただくことになります。今回の発表会では、ファンクやフラダンス、健美操のお客様方も参加してくださって大変な盛り上がりとなりました。今後は、若い人たちとのコラボレーション、より多くの人たちの参加を促すことが課題かと思っています。

 イベントの採算性だけをみるのではなく、効率だけを考えたサービスではないところに、人は感動をするのだと思います。

 皆さんのクラブでも、きっと楽しい、ユニークなイベントも数多くあることでしょう。お客様の笑顔が多いクラブは、自然と「気」のあるクラブとなって多くのお客さまが、集まってくることでしょう。