No.27 ‘気’と‘場’を考える~インストラクターの意識~
クラブパートナー誌 2008年3月掲載
毎月「クラブパートナー」の原稿を書くときに、「今月は何を材料にしようかな?」と考え込むことがあります。実は、今月もはじめに書こうと思っていた内容から、締め切り間際にテーマをがらりと変えてしまいました。おかげで、ドタバタの原稿となりましたが、それでも書きたい内容ができたから仕方がありません。今のフリーインストラクター事情と片付けていいのか、はたまた「格差だよねぇ~」と諦めてしまっていいのか・・・いずれにせよ読者の皆様にも考えていただきたくて書くことにしました。
先日、あるインストラクターが言った言葉のなかで、「勉強する場が無いんですよね~」という一言に私は反応してしまい、「それは勉強する場ではなく、勉強する気が無いのでは?」と言ってしまった事があります。少しキャリアを積んだ養成コースを担当するようなインストラクターの言葉とは思えなかったのです。
さてその話の前に、キャリアを積んでインストラクターを育成したり、評価をしたり、アドバイスをする立場になったインストラクターの方々が抱える問題として、フリーインストラクターとクラブ(オーナー、会社など)の板ばさみになって不安やストレスを感じているという話もよく聞きます。また、昨日まで同じように現場のフリーインストラクターとして頑張っていたものの、立場が変わったとたんに、非難やクレームの矢面に立たされるようにもなります。それが、レッスンフィーが決まるような査定評価の場面になるとなかなか感情的な意見も絡んで、かなりややこしいことになる場合があります。
大手のフィットネスクラブでは、「アドバイザー」や「チェッカー」「キャリアスタッフ」などさまざまな名称でフリーインストラクターのキャリアアップの1つとして、上記のような業務を委託している場合があります。
クラブが委託する業務ですから、そのクラブの考え方や方針、物差しに合わせてインストラクターの評価や業務を行っていきますが、単に作業として評価をしてしまうととんでもないことになります。相手は、自分のレッスンに誇りを持つプロのフリーインストラクターですから、それぞれの思いや考え方、キャリアなどを理解した上で評価をしないと、「なんでこんな人に評価されなきゃいけないのか?」「どうせクラブ寄りの評価に決まっている!」などなど言い出したらキリがないくらいいろんな声が聞こえてきます。
ではここで、考えてみましょう。ではいったいどんな人にだったら評価されて納得できるのでしょうか?多くのインストラクターの場合、あくまでも自分が基準になってきますから、自分よりいろんな面で実力や結果が優れている人ということになるでしょう。また、人として女性として尊敬できる人ということもあるでしょう。さらにポジションパワーに甘んじることなく、日々自己研鑽を怠らず、いろんなチャレンジにおいて進化を遂げている人ということになるでしょう。他にもいろいろあるかもしれませんが、評価をする人や指導者の育成・教育に関わる人の責任は、かなり大きいといえます。
というようなことを話していたときに、私が、「キャリアを積むということは、それだけ責任も大きくなるし、表に出たときにたくさんの矢(批判、非難など)を受ける厳しい道を歩くことにもなるよ。でもそのことで通常ではなかなか得られない経験や発見がたくさんあるはず!」と話をしたときに、前述のインストラクターが「そうなんです。でも勉強する場がなかなかないんですよね。」と言ったわけです。読者の皆さんは、どう思われますか?皆さんの周りには、勉強する場がありませんか?それとも勉強する時間が無いのですか?私が思うのは、どちらも同じような言い訳に聞こえます。私の周りにいる素敵な人たちは、誰もが忙しく、誰よりもエネルギッシュな人たちがたくさんいます。そういった人たちは誰一人「勉強する場が無い」「勉強する時間が無い」なんてことは言いません。いつも気がついたら誰よりも本を読んでしたり、どこにでも出かけたり、惜しみなく時間を節約したり・・・さまざまな工夫をしながら自分自身のキャリアアップを楽しく進んでいます。私が、彼女に言った言葉は、「勉強する場が無いのではなく、勉強する気が無いのでは?」ということでした。少し厳しい言葉だったかもしれませんが、その人には気づいてもらいたいことでした。
先日、ある大手のフィットネスクラブ主催のセミナーがありました。集客状況は、まあまあということでしたが、問題はそのクラブに所属するインストラクターの参加が少ないことでした。私が担当した講座においては、外部のインストラクターの方と、そのクラブに所属する社員、スタッフの方々が中心で、所属するフリーインストラクターの方は本当に少なかったように思います。他の講座も似たような傾向でした。主催者側のクラブと意図としては、所属インストラクターのスキルアップとモチベーションアップのために企画・開催した思惑があるものの実際には裏腹の結果ということです。これと似たようなことは、他のセミナーや大きなセッションでも起こっています。参加する方の顔ぶれが決まっていたり、地方の参加者の参加率が高かったり、中堅どころのインストラクターの参加が少なかったり・・・どのクラブも、関係団体も「勉強できる場」をさまざまな試みで提供をしているものの、集客に結びついていないことを考えるといろんな要因があるとしても、「勉強する気」がないというのも1つの要因となっていると思われます。つまり、「何のために勉強するのか?」「自己研鑽の目的」「キャリアアップという目標」を持っていないインストラクターが多いということが考えられます。もっと言うなら、「仕事の欲」というものに対して希薄ともいえますし、「仕事の責任」というものも持ちえてないことも考えられます。フリーインストラクターは、ある意味で孤独になりがちです。自分の存在価値を確認できるのは、唯一現場でのレッスン指導におけるお客様の評価、集客でしかないと思っている人が多いからです。クラブに必要とされるためには?もっと多くのお客様に関わるためには?という思考が宿ってくると、自ずと「目標」「目的」が見えてきます。手に入れるべきものが明確になれば、人は行動を起こします。「勉強する場」を求める「勉強する気」が起こってくるのです。
「勉強する場」が見つかりにくければ、より「目標」に対する欲求は深まります。よくよく見ていると子育て真っ最中の、介護真っ最中のインストラクターのほうが、わずかな時間を惜しんでセミナーに足を運んだり、本やDVDを購入したり、インターネットを使ってアプローチをしてきたり・・・「勉強する場」を自ら作り出す人さえいるくらいです。
読者の皆さんは、どうですか?自分のキャリアアップを人事のように、人任せにしていませんか?いろんな言い訳を並べていませんか?自分は「何のためにこの仕事を選んだのか?」「この仕事のどこに価値を見出しているのか?」4月新年度に向けて、スケジュールや転勤、移動など生活が変わる人も多いかと思います。今一度、自分のインストラクターという仕事に対する意識を確認してみましょう。
「場」を作るのは、皆さんの「気」です。