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No.33 アクアフィットネスコンファレンスレポートその1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラブパートナー誌 2008年9月掲載

2008年の夏、2年に1度の国内アクア・インストラクターの祭典「アクアコンファレンス(前アクア国内総会)」が開催されました。3日間にわたるこのアクアの祭典に講師プレゼンテーターとして、そして受講者として3日間参加させていただきましたので、今月と来月号ではこのレポートをさせていただきます。

 まず、「アクアコンファレンス」は今年で8回目を向かえ、㈱アクアダイナミックス研究所の所長今野純氏がアメリカでのAEA(全米アクアエクササイズ協会)のサポートを受けて、16年にわたって継続されている国内最大のアクアコンベンションです。私は、第1回目から全部で7回講師として参加させていただいています。

 何事も「継続は力なり」といいますが、これほどまでの盛大なアクアコンベンションを16年間続けてきたということは並大抵のことではありません。まず、3日間プールを貸してくださる場所の確保が必要ですし、公平でバランスよい講師陣の選出、受付などの諸所業務にかかる労力はかなりのものです。また、1講座に100人近い方が参加されるわけですから、その誘導やアンケート回収、レッスン時の諸注意への協力など運営面においてもかなり大変そうです。毎回、講師として参加させていただく度に思うことですが、さまざまなセッションや講習会がある中で、「アクアコンファレンス」ほど事前の準備が行き届いたコンベンションは、お目にかかりません。半年以上も前に講師依頼をいただいたあとは、レジュメの提出や準備物の確認などきめ細やかにやり取りがなされ、さらに当日は、講師に2人ほどの担当者がついてすべての運営がスムースになされるように案内をしてくださいます。講座が始まると同時に音響のスタッフが、講師の指示の元に音楽をかけてくださり、VTR撮影をしてくださるという、かゆいところに手が届きすぎるくらいの運営です。

さらに驚くのは、これらの開催期間中の運営は50名ほどのボランティアスタッフ(AEA・ADI認定者)によってなされているということです。聞くところによると、このボランティアスタッフの希望者が多く、スタッフになれなかった人もいたとか・・・今回は、半分くらいの方が初ボランティアスタッフだったということです。ボランティアスタッフになられた方の話を聞くと、「普段1人でレッスンを準備し、運営しているフリーインストラクターにとって、このように多くの人と何かを作りあげていくという機会が得られることは、非常に勉強にもなり、モチベーションにつながっている!」ということでした。1人の力は小さくても多くの人たちと同じ目的に向って、たった4日間ではあるものの「アクアコンファレンス」を成功に導いていくという機会を与えてくれるアクアダイナミックス研究所のスタッフや今野純氏の求心力はすごいものがあります。講師、ボランティアスタッフ、実行委員のメンバー、そして参加者みんなが心をこめて作り上げていく2年に1度のイベントなのです。

今回の「アクアコンファレンス」の特徴は、「アクア国内総会」から名前を変えたということもあって、新しい若い参加者、初めての参加者が多かったということです。また、AEA/ADI認定者と一般の方の参加も半分ずつであったということです。昨今、「アクアの集客が厳しい!」とか、「アクアのニーズはない!」とか、「お客様のアクア離れが進んでいる!」とかいう方もいらっしゃいますが、この3日間で集まった指導者や関係者に話を伺った限りでは、そうばかりとはいえないように感じました。一部のフィットネスクラブが、経費の削減にプールを持たない施設の考え方を取り入れたり、スタジオプログラムばかりにのみプログラム展開を求めた結果がネガティブな意見や考えになっているように思われます。そもそも水中のプログラムは、運動するにあたって「水」という環境が必要な人の為にあるものです。それをトレンドやスタジオプログラムと同じように考えてしまうことに無理がありますし、参加者のニーズからも外れているように感じます。今回の講座を、いくつか受講して思ったことですが、アクアエクササイズの方向性が確実に変わってきているように感じました。

まずは、ほとんどの講師のプログラム展開が、現場から生まれたものであること。つまり「参加者ありき」の目線で作られた、効果と楽しさの演出に工夫がなされたものであったということです。また、「水の特性」をかなり有効に引き出したプログラムも目立っていました。一時の器具を多用することは減っていて、自分の身体を使って多様にプログラムが展開されています。そこには、私たちの身体が本来持っている機能的で自然な姿勢や動きを意識したものが多かったようです。この10年くらいの間に、アクアプログラムを提供する講師陣のスキルやプレゼンテーション能力が高くなったとともに、参加者の受講目的や参加意識もずいぶん変わったように感じます。以前は、ある意味エネルギッシュで、パワーがあってコリオグラフィーがどんどん展開されるものに人気があったように感じますが、エネルギッシュかつパワーあるレッスンは当然ですが、それらは正確で明確なパフォーマンス、論理的なプログラミングとティーチングが存在した上でのものであるということです。エアロビクス以上にアクアエクササイズの指導者の年齢層は幅広くなっています。親子2世代から3世代になろうとする年齢幅です。指導歴も30年以上の方もいれば、数ヶ月の人もいます。そんな参加者の心と身体を1つにしていく講師陣のパフォーマンスは圧巻です。こういった現場をもっと多くの施設関係者や、管理者の人たちが見ると「アクアエクササイズ」に対する考え方や発想がポジティブになるような気がします。私たちは、「元気」という商品を掲げて売っているわけですから、ネガティブな発想はなるべく少なくしたいものです。「弱み」を「強み」に変えられるのは、やはり「人」の力だということに気づかされるはずです。

期間中、今野氏とお話を何度かさせていただくことがあり、印象深かったのが「これから"は貴重になる!つまりアクアエクササイズは貴重な運動となる!誰もができる運動ではなく、を手にすることができる人のみの運動となるであろう・・・」ということでした。水道を捻ればいつでも水が出てくる日本では、想像がつきにくいかもしれませんが、この地球上の水を人が利用できるのは、たった0.01%ということです。水の自給できない国がたくさんあり、水を得られない人口が11億人ということです。5人に1人は、水の恩恵を受けられないということです。「油」よりも「水」不足のほうが深刻とも言われています。私たちの行っていく「アクアエクササイズ」は、ある特殊な人たちしかできないということになるのなら・・・そのニーズを探り、プログラム開発をしなければなりません。水がない国の人に、海水や排水を「真水」にするプラント技術は日本が世界一だということです。日本人が水を作る技術を持っているのなら、私たち指導者は、その水を使った世界一の運動プログラムを、必要としている人々に届けていきたいものです。今回の「アクアコンファレンス」では世界に向けて発信できるような非常に質の高い「アクアエクササイズ」が満載だったように思います。今後は、そのプログラムを習得しやすくするためのシステムやツールを考えていく必要もあるでしょう。「アクアエクササイズ」に関しては、日本の指導者は、世界のなかでもレベルが高いと思われます。水が自給できるようになった国に、健康になるためのアクアエクササイズ、治療としてのアクアセラピーが今後は広がっていくのではないかと密かに期待したいと思います。

来月号は、アクアコンファレンスの講座の内容を少しレポートしたいと思います。