No.34 アクアフィットネスコンファレンスレポートその2
クラブパートナー誌 2008年10月掲載
先月号に引き続き、「アクアコンファレンス」のレポート第2弾をお送りしたいと思います。
アクアコンファレンスは、ワークショップ講座が18講座、レクチャー講座が3講座、ワークアウト(実技のみ)の講座が17講座、特別講座が3講座で、全部で41講座が3日間で繰り広げられました。参加人数ものべ700名となりました。今回は、海外講師としてイタリア、ポルトガル、韓国から5人の講師とともにアンケートによって選出された国内の講師たちが、パワフルかつエネルギッシュな講座をそれぞれ担当していました。
私も3講座を担当させていただきながらも、3日間を受講生としても7講座を受講させていただきました。講師として感じたこと、受講生として感じたことをレポートしたいと思います。
まず、自分自身は「アクアダンスのリニアプログラム」にこだわったワークショップと「3D(3次元)のファンクショナル(機能的な)アクアダンス」ではバランスリング(丸い浮き具)を使ったワークアウトを提案しました。どちらも私の中のテーマとしては、アクアエクササイズを楽しむ方に「より効果的で気持ちのよいエクササイズを!」ということが根底にあります。単に手足をさまざまな方向に動かしてエクササイズをつなげていくコリオグラフィーというスタイルではなく、水の特性を利用しながら身体の機能性を引き出し、エクササイズを通して何らかの手ごたえ、身体の反応、満足感を得ていただきたいという思いです。
「リニアプログラム」というのは「コンビネーション」と違って動きを覚えなくていいメリットがあります。その分、今行っている動きに集中してしっかり動くことができますし、次への動きの展開は、無理のない展開を考えながら徐々に変化させていくというスタイルをとりますので、ついていきやすい、それでいてチャレンジしやすいというメリットがあるのです。ただ、リニアは、展開を間違えたり、大雑把にしてしまうとその良さが得られなくなり、かえって局所的な疲労も招く可能性があります。何よりもインストラクターが、デモンストレーションを明確に見せながらリードしていくために、展開を丁寧にしておかないとパフォーマンス力が落ちたり、気持ちの集中力が途切れて疲れてしまいます。ほとんどのアクアダンスが「コンビネーション」スタイルの中で「フリースタイル(自由気ままに動きを次々と変化させる)」より「リニアプログレッション(基本動作から少しずつ動きを変化させる)」というスタイルは、プログラムをより洗練させていくためのチャレンジともいえます。100名ほどの参加者がプールでイキイキと、コリオグラフィーではなくムーブメントを楽しんでいる姿がとても印象的でした。
次に「3D(3次元)のファンクショナル(機能的な)アクアダンス」では、浮力と抵抗を利用して身体の可動域を広げるエクササイズと呼吸も取り入れたコア(体幹部)安定のエクササイズをバランスリングという器具を使ってウォーミングアップに取り入れることで、その後のアクアダンスが行いやすくなります。可動域が広がることでダイナミックな動きが得られ、コアが安定することで力強い動きとバランス力が得られるからです。パフォーマンス力が上がるということで、運動効果も得やすいわけです。従来のアクアダンスの要素の中に、「静」の動き「スロー」の動きを取り入れることが、より水の効果を引き出すということです。ウォームアップの考え方は、参加者の方にとってはとても興味深かったようです。終わったとあとに「不思議に気持ちよくアクアダンスをおこなっていた!」「自分の体が、好きになれそう!」・・・いろいろな感想をいただきました。
と、私の講座はこんな内容でしたが、他の講師の先生方も素晴らしい講座を披露していました。それぞれの講師の先生方のこだわりや思いが感じとれます。7講座を受けさせていただいて感じたことですが、年々「楽しい!」だけのアクアエクササイズではなく、さらに「より効果的に」というアプローチがどの講師も共通していたように思います。その切り口はさまざまですが、そこに講師独自の工夫と洗練された実績が伴っていました。ほんの少しですがご紹介します。
冨士隆枝さんの講座も機能性を意識した内容で「ピラティス」「ジャイロキネシス」などの要素を盛り込み、さらにツールを利用するという楽しさが加わって、プールは遊園地のように盛り上がっていました。高齢者やリスクを持った方々が増える中で、やはり「機能性」を目的としたプログラムは、ニーズの1つです。楽しくポストリハを提供するプログラムがもっともっと増えることを願っています。
原恵さんの講座は、不思議な魅力があり、参加者と講師が1つになった講座でした。原さんの人柄が、参加者を自然に主役にしていきます。講師として気負うことなく等身大の彼女が前に立つことで、参加者は安心をするのです。また長い手足を使ってのデモンストレーションは、水を本当に感じ取っているからこそできる動きです。小難しいことを言うわけではなく、でも彼女自身が体を通して感じたこと、知っていることを表現しているのです。「聞かせるより見せろ!」そんなことをさりげなく伝えているのが原さんの不思議なところです。私自身は、前半のウォーキングがとても楽しく、運動量も十分に得られ、ウォーキングの楽しさを再発見させられた感じでした。このようにアクアダンスにウォーキングやコンディショニングなどをコラボレーションさせていくスタイルは、アクアエクササイズの今後の展開に参考となるでしょう。
次に、久々に復活をしてくれた吉田賢一さんの講座は、本当に論理的で緻密なプログラム展開でアクアダンスのコンビネーションがあっという間に自然にできてしまうのです。ブランクを感じさせない余裕のあるリードが、講師と参加者が1つになってレッスンが進んでいくという心地よさがあります。吉田さんを慕う指導者が多いのがよくわかります。人柄は、プログラムにも指導にもよく現れます。ホスピタリティに満ちたアクアダンスには脱帽です。同じように寺本強さんの講座も素晴らしいものでした。今回受けた中では、私自身が最も楽しめたアクアダンスです。大きな体から繰り広げられる愛嬌たっぷりのパフォーマンスがほほえましいだけでなく、彼もまたきちんと計算されたプログラム展開によって、落ちこぼれや迷子を作ることなく、少し難易度の高い動きへとナビゲーションしてくれるのです。特にレイヤリングをかけるタイミング、優先順位は素晴らしいといえます。これからのアクアエクササイズ業界をリードしていく成長株といっていいでしょう。このように、オーソドックスなアクアダンスのクォリティーも年々高くなっています。単に「ノリ」だけでなく、参加者全員を1つにまとめながら、グループダイナミズムの達成感も感じさせながら、有酸素運動としての効果を引き出していくのです。そのために吉田さんや寺本さんが、日頃プログラム展開に繊細にこだわって、そのために惜しみなく努力をしているのだとも思いました。トップインストラクターになるほどに、謙虚であり、努力する人であるということです。
最後に、今回海外から来られた5人の講師の方々の講座の素晴らしさはもちろんですが、多くの日本の講師たちの講座を一緒に受け、会期中はあちこちで参加者の人たちと言葉を交わし、いつも笑顔を絶やさなかったそのエネルギーに脱帽です。かなり暑い湿度の高い日本で、慣れない環境下で、国に帰ればトップレベルの指導者であり、理事でもあり、大学の講師でもあり、経営者でもある彼らの謙虚さ、ひたむきさ、サービスマインドの豊かさを見習いたいと思います。
アクアコンファレンスを通して、今後のアクアエクササイズの展開の可能性がたくさん広がるだけでなく、やはり人に人が集まるのだということ、指導者として何がもっとも大事であるかということを改めて感じさせられる3日間だったことを報告したいと思います。
2010年、また多くのアクアエクササイズを愛する人たちとの出会いを楽しみに・・・