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No.4 インストラクターの将来性(成功するステップアップとは)

クラブパートナー誌 2006年4月号掲載

*インストラクターの不安

クラブパートナーの原稿を書くようになっていろんな方から感想や意見をいただくことが多くなりました。一人でも多くの方に読んでいただいてさまざまな意見をいただくことが私の糧になっています。また、クラブ関係者からの相談も多くなってきました。

フィットネス業界も30年近い歴史をもつようになるとちょうど世代の幅も広がってきます。スイミングの業界では、2世代ぐらいの幅になっているのでしょうか?スタッフ間の親子ほどの年齢の開きは当然で、いまや若いスタッフは孫と変わらない年齢になっているクラブもあるでしょう。それだけ、フィットネスの年齢層の幅も広がったということですが、実際には年齢に応じたキャリアの幅は広がっているのでしょうか?またそのキャリアに見合った待遇や処遇は得られているのでしょうか?年功序列の時代と成果主義の時代のちょうど狭間に育ったフィットネス業界は、インストラクターやスタッフのキャリアアップ、ステップアップがなかなか進んでいかない難しさがあるようです。

また、女性の社会進出の成長とともに育った業界でもあり、圧倒的にインストラクターは女性中心です。女性のキャリアアップを模索する人も多いようです。折りしも、あるクラブの若いスタッフと話をしていたところ、「女性がインストラクターとしてステップアップするためにはどうすればいいのか?」「結婚や出産、育児など家庭生活と仕事の両立などどうすればいいのか?」そんな不安から将来がなかなか見えないというような話を聞きました。

日々、クラブの業務に追われ、レッスンをこなす日々の中で誰に聞いていいものか?仲間と語り合うにも時間が合わず、悶々とする毎日のようです。さらに結婚したインストラクターにいたっては、家族を含めた周りの理解と協力をどのようにとりつけるか・・・などなど悩みは多いようです。

 インストラクター歴26年近くなる私自身においても同じような悩みを抱いたことは多々ありました。もともと天職と考えてインストラクターになったわけではなく、アルバイト気分からのスタートでした。最初は、子供たちにダンスを教えていたのですが、これは怖さしらずのクラブ活動の延長のような楽しさで行っていましたが、23歳のときエアロビクスインストラクターとして初めてクラスを担当したときは、緊張のあまりほとんど何をやったか覚えていません。当時、私はまだ太っていたためサウナパンツ(時代ですね・・・)をはいて、太い足を隠してエアロビクスの指導をしていましたが、レッスンが楽しいというより、人前に立つ苦しさ、自信がもてず不安と緊張の毎日だったような気がします。そんな私を救ってくれたのは、やはりお客様でした。ほとんどお客様の顔を見ることなどできていなかったのに、「先生のレッスン楽しい!」「すっきりしたわぁ~」とレッスン後に声をかけられて「へぇ~!?」とびっくりしたものです。次に「楽しかったのかなぁ?何がだろう・・・?」そんな不思議な気持ちで次のレッスンから声をかけていただいたお客様だけは何とか見ることができるようになりました。そうすると、今まで鏡の中の自分を必死で見てレッスンをしていたのですが、お客様がニコニコと笑いながら一生懸命汗を流しているのです。「みんな楽しそうに動いているなぁ~」私も思わず張り切ってレッスンを続けました。レッスン後、「先生、元気ね。パワーもらうわ・・・」「また来週も来るから・・・」「今日の音楽良かった!」たくさんの声をいただきました。「はぁ~・・・私のほうが元気もらったのに???」「でもありがとう!うれしい!」こんなところから少し自信が持てるようになりました。自信を持つといろんな正のエネルギーが生まれてきます。いわゆる欲というものです。「もっと最新のエクササイズを知りたい!」「誰よりも早く最新の音楽、ウエアを手に入れたい!」当時は、レコード(これも時代です)にレオタードにコリオグラフィーを手に入れるために東京都内を走り回っていました。レコードショップの店長と仲良くなって最新の音楽が入るやいなや電話をもらっておとりおきをしてもらう、外人インストラクターが来るといえばワークショップを申し込む・・・私と同じようなインストラクターがそこにはたくさん集まって、お互いに情報交換をする、といった毎日でした。

何もかもお客様に喜んでもらいたい!認めてもらいたい!という気持ちからでした。気がついたらアルバイトのインストラクター業が本業になって生活の中心になっていました。こんな私の昔話から皆さんは何かヒントがありますか?自分にとって味方になってくれる人、自信を持たせてくれる人がまわりに1人でもいたなら・・・少し変われそうですね。ほんのちょっとの自信が、更に「もっと」という次の行動を起こしてくれます。自分の指導現場が少し楽しくなって、目の前が広がることでしょう。

 

 *チャレンジしてみよう!

ほんのちょっとの自信は余裕をもたらせてくれます。その余裕のおかげで次へのチャレンジが生まれます。新しいチャレンジは、さまざまな人との出会いや経験、知識、情報をもたらしてくれます。こんなことの繰り返しがステップアップとなります。

今、インストラクターになったばかりの方やフィットネス業界で活動する若いスタッフの方々は、自分自身のステップアップのきっかけとなる人を探してみませんか?インストラクターの人たちが一番評価を受けたい人それはお客様ですよね。集客人数も大事ですが、参加者が自分をどのように評価しているのか気になるところです。確かに最近は年齢の高い参加者も多いですし(人生の先輩です)、フィットネス歴も長いお客様、健康に関心が深い貪欲なお客様・・・いろんな方がいますが、まずは自分を頼りにしてくれるお客様、期待してくれているお客様はいませんか?自分のファンを増やすために自分自身がすることは何でしょう。出来ることは何でしょう。たとえば興味のあるワークショップや研修会に参加する事で、同じ思いや悩みを持った人との出会いがあるかもしれません。講師との出会いは、自分に必要なアドバイスや情報を提供してくれるかもしれません。私が最近講習会を担当して感じることですが、キャリアアップした経験の長い方の自己研鑽の意欲はすばらしいものがあります。さすが、上に立つ人ほど学ぶ姿勢を忘れていないと感じます。また、若い指導者の方もたくさんの情報や知識に飢えています。こういった若い人たちはメールを下さったり、お手紙を下さったりと積極的にアプローチしてきてくれます。意欲の高い人や一生懸命アプローチしてきてくれる人には、もっと何かうまく伝えられないかと刺激を受けます。「教えることはまさしく学ぶことです」指導者の皆さんも、日々の指導の中でたくさんのことを学んでいるはずです。そしてそのことに気づいていれば、自分の目的(GOAL)を見失うことはないのではないでしょうか?まず自分の目的に向けたステップアップは自分自身をよく見つめるところからです。

それでは次回は、インストラクターがさまざまな形で更にキャリアアップを図る手立てについて具体的に書いてみたいと思います。