No.9 インストラクターの体調管理~食事編~『食事は人を良くする事』
クラブパートナー誌 2006年9月号掲載
*インストラクターの体調管理は大丈夫?
今年も暑い夏を過ごしました。この原稿を書いているときは暑さ真っ只中なのですが、皆さんのお手元に届く頃には少しはしのぎやすくなっているといいのですが・・・
さて、今回はインストラクターの健康管理、体調管理に関して書いてみようかと思います。というのも最近いろんなクラブの方からインストラクターの怪我や病気が多く、代行がままならないとかスケジュール調整が難しいと言った声を聞くと同時に、インストラクター側からも「身体が疲れる!」「元気が出ない!」「脚や腰が慢性的に痛い!」といったつらい言葉を耳にする機会が多くなったからです。私自身は、今のところ更年期障害もなく持病の膝痛もなく、食欲不振、睡眠障害もなく、また健康診断をしても問題なく自分の身体に感謝することばかりです。
でも、私自身も一時期怪我をして現場を離れざるを得なく、お客様や周りのスタッフやインストラクターの方に迷惑をかけたり、お世話になったことがあります。40代前半のことでしたが、それを教訓に日頃のコンディショニングには少し気を遣うようにしています。
いろんな講習会やセッションに出向いたときによく受ける質問としてどのように体調をコントロールしているのかという質問が多いことからも、意外とこの問題は大きく取り上げられないもののインストラクターが抱えている切実な悩みのような気がします。クラブパートナーのような業界紙は、どこか施設側や運営側からの発信が多く、なかなか現場のインストラクターが個人的に抱えているストレスや悩みを取り上げる機会は少ないと思うのですが、もっと業界としてインストラクターの保障や健康管理を含めた取り組みやサポート体制がなされてもいいのではないかと思います。若い人が夢を持ってインストラクターを目指してもなかなか続かないのはそういった社会的な体制がまだまだ不十分ということもあるのではないでしょうか。
それでは、読者の皆さんはどういった体調管理をされていますか?「健康」「体力」「元気」を看板に掲げて仕事をするインストラクターの皆さん自身が、看板に傷がついていては困りますよね。忙しさにかまけて自分自身のことを後回しにしていませんか?身体から出ているメッセージに耳を傾けていますか?私も若気の至りで、無茶をした時期がありますが40代ともなるとさすがにそれでは日々のレッスンや指導はままなりません。それどころか主婦として女としても(?)ままならなくなります。インストラクターの皆さんは、健康の3原則はもうお分かりだと思いますが、「栄養」「運動」「休養」この内容やバランスを考えたときに良好(well being)と言える人のほうが実は少ないのではないでしょうか?今回は、私が勝手に思うところのこの3原則をかなえるための取り組みを考えたいと思います。
*食事の質と量
まず、「栄養」つまり食事と言うことですが、「食」と言う字は「人を良くする」と書きます。つまり「食事とは、人を良くする事」となるのですが、私はこの言葉を福井県の永平寺で知り、それ以来「食」がますます好きになってしまいました。もともと食道楽なんですが、やはりおいしいものを食べるととっても幸せな気分になり、身体がむくむくと元気になっていくのがよくわかります。
私の場合、ほとんどサプリメントはとらないのですが、まずは3食絶対にきっちり食べます。分量や内容はその時々まちまちですが、まずは「3食、食べる!」次にとりあえずバランスを考えるのですが、あまり難しく考えたくないので(忙しくてそんな暇もないのですが)、1日の中でたんぱく質系(肉、魚、豆など)とビタミン系(野菜、果物など)を最低1品とれているか、その次には何種類のものを口にしたか、基本は1日30品目でしょうが、それを目標にするととっても大変になるので、とにかく単品にならないように考えます。
例えば、おにぎりと野菜サラダなら幕の内弁当に変え、菓子パンならミックスサンドイッチという感じです。それでも、レッスンの関係や打ち合わせや会議が延びたときなどキチンと食事が取れなかった日は、ちょっと自己嫌悪に陥って翌日に体のことを考えた食事をするようにしています。インストラクターの人からは忙しくてなかなか食事のタイミングがうまく取れないと聞きますが、時間管理が上手にならないとだめだと思います。私の場合は、基本的には食事の時間を基本にレッスンを配置したり、ミーティングや打ち合わせを入れるようにしています。時間がないとどうしても簡単な食事になってしまいます。仕事の効率を考えても、やはり食事の時間をきちんと確保することを優先させましょう。
職場の雰囲気によっては、それがなかなか難しいかと思いますが、シフト調整も含めてみんなで取り組むべきです。また、フリーインストラクターの方は、移動やレッスンの関係でなかなか時間がうまくコントロールできない場合は、1日のスケジュールを見直す、3日単位で食事のバランスを考えることをしてみましょう。
*食事に対する意識改革
以前、エアロビクスの養成コース中にコース生に食事記録を提出させたことがありますが、その内容があまりにもひどく、愕然としたことがあります。食事の内容がお菓子になっていたり、サプリメントばかりに頼っていたり、毎日の食事内容がほとんど一緒だったり・・・本人にしてみればそんなつもりはなかったようですが、実際に自分の食事を書き出してみるということをすると、意外にも自分の偏った食事や嗜好が客観的によくわかります。若いスタッフやインストラクターの方には、ほとんど毎日コンビニが食事の供給場所となっている人も多いかと思います。なかなか自分で作ることは面倒で時間もないかと思いますが、せめて毎日同じ系統のものを食べない、コンビニにお世話になるのは1日1回までとか食事に対する意識をどこかで変えてほしいと思います。
空腹感だけを満たす食事から、身体と心が喜ぶような食事を心がけるようにしましょう。さらにインストラクターとして知識を増やすためにも栄養や料理に興味を持って勉強するのも方法です。そこで得た知識をお客様にアドバイスする、コミュニケーションのネタにするなど指導現場でおおいに役立てることができます。中には、お客様でも熱心に食事のことを考えている方がいて、こちらのほうが教わることも多くあります。中高年以上の主婦の方はたくさんの千恵袋を持っている方がいらっしゃるのです。そういった方のお話を聞くだけでも得をしたような気分になれますし、何よりもお客様も嬉しそうにお話をされます。「食べること」この話題は人間関係を良くする題材だとつくづく思います。
インストラクターの皆さんでちょっと自分の身体や体調、体力に不安を感じている方は、ほんの少し自分のために「食べること」に意識を向けてみませんか?次回は、「運動=コンディショニング」について書きたいと思います。