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No.23 集客力UPのためのコミュニケーションとは?~挨拶〜

クラブパートナー誌 2007年11月掲載

大手のフィットネスクラブは、ここのところなかなか厳しい状況が続いているようです。私のところにも何気に問い合わせが来るのが、「新規プログラムは何かないですか?」「何か目新しいものはないですか?」「これからは何がうけるのでしょうか?」・・・こういった質問が寄せられるたびに、「フィットネスクラブは、何を売りたいのでしょう?」「フィットネスクラブの商品って何ですか?」と聞いてみることがあります。混沌とした現状の中で、業績の伸び悩み、会員数の伸び悩み、新規会員獲得の減少、指導者不足・・・問題は山積みされていくフィットネスクラブは、少し目標を見失ったり、迷ったりしているのかもしれません。どこも新規会員の獲得が難しい中で、既存の会員の継続率を上げること、数少ない新規会員の徹底フォローを掲げているところも多いようです。

 私が思うのは、新しいお客様が増えないということは、今のフィットネスクラブには買いたい商品(求めている運動)がないのではないか?新しいお客さまが続かないのは、買いたい商品(求めている運動)を手にしたけれど、自分に合わず期待がはずれてしまったのではないかと考えます。購買意欲の低下した原因は、何なんでしょうか?

今年になってメタボリック改善のためにフィットネスクラブに入会した人がいます。半年たってすでに幽霊会員になりつつあります。もともと運動が嫌いで苦手なその人は、一念発起してフィットネスクラブに入ったものの、どのように運動をすればいいのかわからず、スタッフに聞いても専門的なことは教えてもらえず、ただエアロバイクを30分ほどしてマシーントレーニングを数台こなして帰るというクラブ利用でした。毎週、同じ時間帯に行くもののトレーニングをしている人もスタッフも顔ぶれが毎回違っていたようです。誰と会話することもなく、フィットネスクラブにいることに孤独感も感じ始めます。元来運動が得意なわけでも好きなわけでもありませんから、フィットネスクラブに行くことは億劫になってしまいました。と、このような経験をしている人は非常に多いのではないかと思います。私自身もフィットネスクラブでレッスンをしていますが、マシーンジムを見てもフロントを見ても大きなクラブになればなるほど、そこに人がいるのに会話が聞こえてこないのです。唯一、平日昼間のシニア層の方々が、楽しそうにあちこちでおしゃべりに花が咲いています。この方々は、クラブの利用率も高く、継続率の高い方々です。確かにストレスフリーということで、入館チェックが機械化され、ロッカーキーの受け渡しもなくなり、レンタル商品も自動販売機になり人件費も抑えられ、そのことは厳しいフィットネス業界を乗り越えてきたことは間違いないのですが、人としてもっとも大事な関わりあいが無くなってしまったように感じるのは私だけでしょうか?会話を通して相手の体調を知ることができれば、未然に事故を防ぐことができます。また、相手の要望や目的を知ることでサービスの質を上げることもできます。お客様の安全とサービスを確保することができると思うのです。

でも、現実には私もそうですが、スタッフは忙しすぎます。11人のお客様とゆっくり会話をしていては、公平なサービスが難しくなりますし、シフトで動くスタッフにとっては、業務が遂行できなくなります。そんなストレスからスタッフも疲れてしまいます。ようやくフィットネスクラブに慣れたスタッフが、疲れきってドロップアウトしていきます。次への目標を見出して職を離れるというより、現状から逃れたい一心でやめていくわけです。そんなスタッフと話をしたときに、少し心が動いてありのままの気持ちを話してくれます。「もっと早く、相談すればよかった・・・」「自分の気持ちを伝えたことがなかった・・・」何ともいえない複雑な気持ちになります。フィットネスクラブ内のスタッフ間でも会話をする時間が極端に少なくなっているようです。

私は、いろんなフィットネスクラブにイベントやセミナーに行く機会が多くなって、何となくクラブの空気、雰囲気がすぐにわかるようになってきました。この、説明しがたい空気や雰囲気は実に大事なような気がします。新しくフィットネスクラブに来ようと思っている人が施設に見学に来たときに感じる空気だからです。普段、その場にいないからこそ敏感に感じられるのです。何となく沈滞しているクラブの雰囲気は、新しいお客様にはすぐに伝わってしまいます。新規開店クラブの集客がいいのは、新しいからということもありますが、スタッフもみんな新しい緊張感の中でお客様をお迎えしていることが活気づいた雰囲気を作り出しているからです。既存のクラブスタッフほど、自クラブの空気や雰囲気を感じとるセンサーが鈍くなってきます。空気を感じ取れなくなったスタッフは、施設が汚れていてもお客様が困っていても気づくことが出来なくなります。そんなときに事故やトラブルは起こってきます。

 お客様の立場に立てば、心地よい空間、安心できる場所、温かい雰囲気を作り出し、気持ちよく運動ができるようにすることです。そのためにはコミュニケーションが重要です。そのコミュニケーションの基本が「挨拶」だと思うのです。時間のかかる会話や、密な会話は今のフィットネスクラブでは、なかなできるものではありません。でも、挨拶はどんなときでも誰にでもできます。それでいて大きな声で言っても、他の人が聞いて嫌な気持ちになるものではありません。「おはようございます!」「こんにちは!」「ありがとうございます!」などなどフィットネスクラブでたくさん聞こえれば活気のあるクラブになっていくような気がします。もともと「挨拶」の語源は、禅宗で問答を交わして、相手の悟りの深浅を試みることを「一挨一拶(いちあいいつさつ)」と言ったことから始まり、「挨」も「拶」も「押す」という意味をもち、「複数で押し合う」ことを言ったと聞きます。つまり、「挨拶」があってこそ相手のことを知り、受け入れ、お互いに関わりあって(押し合って)いけるのだと思うのです。

 私は、レッスンの始まる前にスタジオの前やプールサイドで「挨拶」を交わしたときに、ほとんどのお客様の体調や顔色を知ることでできます。そうすると、自ずと「今日は、どうされましたか?」「無理をしないように」などと声をかけることができます。中には「どうしてわかるの?」などと不思議がる人もいますが、理屈でなくちゃんと「挨拶」するとわかるのです。

次にレッスンをスタートするときには、クラス全体に「おはようございます」「こんにちは」と大きな声で挨拶します。昔に比べると大きな声で挨拶を返してくれる人は少なくなりましたが、はっきりと明るく挨拶をすると参加者の顔はぱっと輝きだします。日常からこれからレッスンをするというけじめのつく瞬間です。この仕切りがあるからこそ集中力も増してきます。レッスンのやる気にもつながってくるのです。

レッスンを成功させ、自分のクラスのファンを増やすためにも第1のステップが「挨拶」になるのです。

私にとっての挨拶は

かるく

きいきと

わやかに

たえる

それがあいさつ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のが「挨拶」ということになるのです。

集客力UPのためのはじめの第一歩は、相手を知り受け入れるためのコミュニケーション「挨拶」だということです。きちんと「挨拶」ができるようにしましょう!