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No.24 チーム力がもたらすもの

クラブパートナー誌 2007年12月掲載

去る119日~11日の3日間、東京南町田にある東急リバブルスクエアで、(社)日本フィットネス協会(JAFA)が主催のアクアエクササイズの Super Brush-Up 3 Days 2007が開催されました。これは、JAFA AQUAが認定しているAQWI(水中ウォーキングの指導者資格)、AQBI(アクアビクスの指導者資格)取得者やすでにアクアの指導をされている方に向けてのブラッシュアップを目的とした講習会です。実際には、JAFA AQUAの有資格者以外の方の参加も半分くらいいらっしゃったようで、このようなアクアエクササイズの基本的な講習会のニーズが高いことを感じました。また、会場が比較的狭かったため各講座が25MAXといことで、比較的参加者一人一人に目の行き届いた講習会だったようにも思います。多くの参加者は、1日に2~3本受けているようでした。

 さて、このJAFA AQUAhttp://www.jafanet.jp/)は、もともと日本アクアエクササイズ協会が行っていた認定事業を引き継いで4年目になるのですが、AQT(アクアトレーナー)という認定資格講習会も3回行われて、現在21名のAQTが日本全国で活躍しています。今回のSuper Brush-Up 3 Days 2007は、AQTJAFAのミーティングを重ねた結果、資格認定事業だけでなく、アクアエクササイズインストラクターのスキルをあげるとともに、インストラクターを増やしていくための試みとして開催されました。とはいっても初めての試みですから、さまざまなアクアエクササイズ講習会がある中で、どのような内容で行っていくかを考えたときに、意外と基本的な講習会が少ないのではないかということで、今回は「アクアダンス」「水中ウォーキング」「水中レジスタンス」という3つのプログラムの構成と指導法に的を絞った内容になったのです。アクアエクササイズのインストラクターは、きちんとした養成コースを受けることなく見よう見まねでレッスンを行っていたり、研修を受けていても非常に短い時間で研修を終えて現場に立っていることが多く、インストラクターの多くは不安を抱え日々のレッスンに励んでいるようです。案の定、今回の参加者もそういった方が目立ちました。情報、知識、スキル・・・自分自身が不足していると感じている人が、非常に熱心に参加してくださいました。会場の雰囲気もあったかと思いますが、参加者と講師の間が近く、フレンドリーに言葉を多く交わしながら、各講座が盛り上がっていったのも特徴です。普段聞けないこと、悩んでいることを会場にいるAQTを捕まえては質問を投げかけているようでした。

 今回、このSuper Brush-Up 3 Days 2007の成功には、当然参加者の熱心な受講と前向きな意欲が大きいのですが、私が今回感じたAQTの人たちのチームとして講習会を盛り上げていく姿があまりにも感動的だったので、今月のクラブパートナーでご紹介することにしました。

 まず、講習会の運営スタッフの確保、採算、会場の規模、環境など厳しい条件がある中で、それでも何とか成功に導けたのは、何よりも「人」の力、それも個人と個人が関わりあって、足し算以上の掛け算でエネルギーが満ち溢れたことによるものだと思います。AQTたちが単に担当講座の講師として振舞うだけでなく、それぞれが裏方に回り、誘導・案内からビデオ撮影、音響係とすべてボランティアでお互いの講座を支えあったのでした。また、今回の講座は、AQT講師のオリジナルワークショップではなく、JAFA  AQUAのワークショップということでそれぞれの講座は、AQT4~5人がチームとなってレジュメ作成から進行台本作成、当日のワークショップのサポートまで行うという方法がとられました。なので各講座の成功は、1人の講師の力ではなくチームとして数ヶ月前から準備してきた結果といえます。さらにチームが違っていても、お互いの講座をOJTしながら、手が空いているAQTたちは、必死でメモを取っていくという状況ですから、昼ごはんなどもすっ飛ばしてしまうほどのエネルギーと集中力です。3日間がそんな具合でプール漬けとなったわけですが、終わった後の充実感は何ともいえないものがあったように思います。「チームAQT」の誕生でした。

 しかし、フィットネス業界における日々のレッスン業務において、インストラクターは個人の力を求められることがほとんどです。一人でプログラムを考え、音楽を選曲し、ウエアを決め、レッスンも一人で進めていく・・・1つのレッスンが終わると次のクラブへ移動してまた一人で行っていく・・・日々がこの繰り返しになるのです。あるとき、「フリーインストラクターは孤独なんです。お互いのことを知っているようで知らない。本当のことをなかなか話せない。」というようなことを聞いたことがあります。日々時間に終われ、インストラクター同士交流しようにも時間や場所やスケジュールが合わないこと多いのでしょう。それぞれが抱えている問題を打ち明けあったり、相談しあったりということも少ないようです。確かに、フリーインストラクターとして契約している以上、業務委託契約ですから個人の自己管理と責任を問われる仕事ではありますが、そろそろそういったインストラクターたちの力をまとめて、「チーム」としての活動を導いてもいいのではないかと思います。レッスンスケジュールを組むときに、インストラクター個人の名前でレッスン担当するのではなく、チームとしてクラス運営がなされ、レッスンの内容を考えたり、代行の穴埋めを代わり合ったり・・・いろんな発想で面白いアイデアがいっぱい出てきそうです。チームによってカラーが違って、レッスンのバリエーションも広がるかもしれません。

 今のインストラクターが置かれている環境は、あまりにも孤独で不安で不安定です。そんな気持ちから仕事への意欲を失っていく人も多いような気がします。私が、昔OLをしていたころは、営業課なら営業課という7~8人のチームで仕事に取り組み、それぞれの役割の中で励ましてもらったり、カバーしてもらったりという関係がありました。またその中で新しいことも覚え、みんなに伝えて共有することも知ったものです。一人では味わえない仕事の達成感を、仲間で共有することで仕事のダイナミズムを感じたものでした。これからのインストラクターのモチベーションは、ある意味このフィットネス業界を支え、発展させていくためにはなくてはならないエネルギーだと感じています。インストラクター個々のやる気や能力を引き出すための「チーム力」をどのようにして構築し、育てていくのか考えたいものです。

 今回、Super Brush-Up 3 Days 2007AQTたちが自ら作り出した「チームAQT」は、私をさらに奮い立たせるものでした。そこには「チームAQT」たちのGOAL(目標、思い、意識)がしっかりしていたこと、お互いを尊重し合えたこと、お互いが学び教えようとしたこと、何よりも参加者のことをいつも考え続けたこと・・・が「チーム力」を引き出したのだと思います。

 

 読者の皆さんは、どう思われますか?インストラクターだけでなく、クラブスタッフにも必要な「チーム力」ですが、それを築くためにはインストラクターやスタッフ個々の「GOAL」がまずは大切です。そして、その個々の「GOAL」をつないでいくのが「コミュニケーション」ということになるでしょう

 「チーム力」がもたらすものは大きいのです。